データ連携は、現代のビジネスにおいて欠かせない要素となっています。しかし、複数のシステムを連携させる際には、様々な困難が立ちはだかります。例えば、データ形式の違いがあった場合のフォーマット変更や、巨大なデータ処理への対応が挙げられます。連携するシステムが少ない場合には、経験のあるエンジニアがスクラッチ開発で対応できます。しかし、システムの数が増えてくると、個別の対応はすぐに限界に達します。優秀なITエンジニアの確保が難しくなっている現状を考慮すると、全てをスクラッチ開発で乗り越えることは困難だと言えるでしょう。こうした問題を解決するために注目されているのが、ノーコード・ローコードの機能を持ったデータ連携ツールです。本記事では、データ連携ツールの必要性や選び方などについて詳しく解説します。スクラッチ開発の限界を感じている事業開発担当者やシステム開発担当者の方は、動向を掴んでいただければ幸いです。データ連携ツールとは?データ連携ツールは、複数のデータソースにあるデータを一元的に集約し、データ形式の変換や加工処理を実行するツールです。ノーコード・ローコードで機能が提供されており、開発言語に精通していなくても利用することができます。データ連携ツールを利用することで、企業が複数の部門で別々に管理されているデータを統合することができます。データの統合により、データの重複や不整合を防ぐことができ、正確な意思決定につながります。例えば、オンラインストアの注文データを在庫管理システムや請求書作成システムなどのシステムに連携させることができます。データ連携ツールのタイプには、ETL(Extract Transform Load)とEAI(Enterprise Application Integration)があります。ETLツールは、比較的大量データの処理に向いており、一方、EAIツールは複数のシステム間のデータ連携をリアルタイムに行う場合に大きな力を発揮します。詳しい違いについては、こちらの記事を参照すると良いでしょう。スクラッチ開発との違いは?データ連携ツールを導入した開発はスクラッチ開発に比べて以下のようなメリットがあります。開発工数・期間を抑制することが可能スクラッチ開発を行う場合には、データ連携・移行処理をそれぞれ個別に実施します。類似した内容のプログラムが量産されている一方、開発言語がそれぞれのプログラムで異なるため再利用することができません。データ連携ツールを利用すれば、言語に依存せずプログラムを使い回すことができるため、開発工数を抑制することが可能になります。プログラム品質を担保することが可能スクラッチ開発では、データ連携の成否がエンジニアのスキルに大きく依存します。そのため、プログラムの品質を担保することは難しいのが現実です。データ連携ツールを利用した場合、スキルに依存せずに品質を担保させることができます。システムの拡張が柔軟にできるデータ連携ツールは、複数のシステムのAPIを個別に開発することなく、新しいシステムとの連携が簡単にできます。スピード感を持ってシステムの連携を進めることができ、組織の拡大・連携シナリオの変更にも柔軟に対応することができます。データ連携ツールの機能基本機能には以下のようなものがあります。ツール間連携を可能にするアダプター/コネクター機能ファイル連携機能データクレンジング・データ変換機能GUIによる連携フローの作成機能ファイル監視、スケジュール実行などのトリガー連携機能メールの送受信連携近年では、Web APIを介したクラウドサービスとのデータ連携ができるツールも多く登場しています。データ連携ツールのタイプデータ連携ツールは2種類に大別できます。各タイプの特徴について解説します。1. ノーコード連携タイププログラミングスキルがなくても、簡単な操作でデータを連携することができるタイプのツールです。例えば以下のような代表的なツールがあります。ASTERIA Warp:9,500社以上の導入実績を誇り、データ連携ソフト市場でシェア1位を獲得。RPAやExcel連携のほか、Microsoft Azure、AWSなど100種類以上のサービスと連携可能。Talend:ガードナー社の調査で5年連続の「リーダー」評価を獲得したETLツールです。1,000個以上のコネクタやコンポーネントが用意されています。Stitch:ZendeskやSalesforceなどのSaaSツールからデータをノーコードでデータウェアハウスに複製できるクラウドELTサービスです。グローバルでのシェアが大きいツールです。2. ファイル連携タイプファイル連携タイプのデータ連携ツールでは、ファイル連携によりデータ連携を行います。異なるOSや言語を使用している環境でも、安全で確実にデータを連携できます。例えば以下のような代表的なツールがあります。Data Spider: 50以上の異なるデータベースやアプリケーション、大手クラウドサービスなどの連携先に対応しているアダプタを備えたツールです。Amazon Glue:Amazon Web Servicesが提供するETLツールです。データソースから必要なデータを抽出し、Amazon RedshiftやAthenaなどデータ分析基盤にデータを書き出すことができます。Informatica PowerCente:累計導入実績が7,000以上の老舗ツールです。自動データ検証テストや生産監視機能などを備え、開発の効率も向上できます。データ連携ツールの比較ポイント連携アプリの種類と数データ連携ツールは対応しているアダプタの種類も数も違います。100種類以上のアプリと幅広く連携しているツールもあれば、SAPやOracleなどのERPソフトウェアに特化した連携を提供しているツールもあります。頻度高く利用するアプリを中心にした設計を考えるのも良いでしょう。操作性に問題はないかローコード・ノーコードのツールを選ぶ場合でもある程度のデータの変換・加工処理について知識がなければ利用できないケースも多々あります。そのような場合はアイコンをドラッグ&ドロップするだけでフローの作成ができるツールがおすすめです。並列処理に対応できるかデータが大量の場合、データ処理が終わるまで時間がかかる可能性があります。このような場合は、複数サーバーでの並列処理に対応しているツールを選ぶことがおすすめです。これによって、データ処理を高速化することができます。まとめ今回は、データ連携ツールについて機能や選び方・代表的なツールなどをご説明しました。データ連携ツールと一言で言っても、データ連携先の数や種類・操作性・処理のスピードなど、様々な検討ポイントがあることがご理解いただけたかと思います。ご自身のツールのデータ連携の目的を整理し、正しいツール選定の参考にしてください。弊社Datableでは、SaaS for SaaSサービス「datable」をSaaSプロダクトに組み込めるiPaaSとして提供しております。ノーコードで連携が可能なサービスで、「早く、安く、簡単に」データ連携ができるようになります。GUIによるSaaSのサービス開発にご興味がございましたら、是非下記より詳細資料をご覧ください