データ連携は、異なるシステムやアプリケーションのデータを連携し、活用できるようにすることを指します。しかしデータソースが複数ある場合、データの形式や構造に違いがあることがほとんどで、連携することは容易な作業ではありません。そこでデータマッピングが必要となります。データマッピングは、異なるデータソースからのデータを統合するためのプロセスで、データの整理や構造化、変換を行う一連の作業を指します。本記事では、データ連携に必要なデータマッピングの基礎や手順について紹介していきます。この記事を通して、複雑なデータを正しく連携していく方法について知見を深めていただければ幸いです。データマッピングとはデータマッピングとは、複数の異なるデータソースから収集された情報を一つのデータモデルに集約するプロセスです。このプロセスによって、データを整理、構造化し、変換することができます。最終的に、一貫性のある形式でデータを出力していきます。例えば、ある企業が複数の店舗で顧客情報や売上情報を管理している場合を考えてみましょう。店舗間で顧客情報や売上情報を分析するには、各店舗で管理されているデータの形式や構造を調査し、必要な整形を行う必要があります。そして、各店舗のデータを統合することで、店舗を横断した分析ができるようになります。このように、データマッピングはデータの整理と加工を行い、データ分析や活用を容易にすることを目的としています。データマッピングの重要性データマッピングは以下の3つの観点で重要とされています。データ品質の向上異なるデータソースから取得されたデータを統合する際には、データの品質が一貫している必要があります。データマッピングを行うことで、データの整理や構造化が行われ、データ品質の向上が期待できます。ビジネスに活用できるデータを取得するデータマッピングにより、異なるデータソースからのデータを統合し、商品の需要予測など、ビジネスに応用できる情報を取得できます。データを個人情報や機密情報の保護基準に適合させる異なるデータソースからのデータを統合する場合には、個人情報や機密情報の保護についても考慮する必要があります。データマッピングにより、データを個人情報の取り扱いやデータ保護に関する取り決めに適合させて保存しておくことができます。データマッピングの手順・手法データマッピングには、以下の手順が必要です。1. データソースのフォーマットを把握するまず、データマッピングを行うためには、ソースとなるデータとターゲットデータのフォーマットを把握する必要があります。そのためには、データ形式の差異を分析し、必要なデータの項目や形式を特定する必要があります。2. マッピングを設計する次にソースとなるデータとターゲットデータのマッピングを設計します。その際には、どの項目をどの項目にマッピングするか、データの変換や加工が必要かどうかなどを検討します。3. マッピングを実施するマッピングの設計が完了したら、実際にデータマッピングを実施します。定期的なマッピング作業や自動化が可能な場合には自動化を検討することが重要です。4. マッピングを検証するマッピングの実施が完了したら、データの移動や加工が正しく行われているかを検証します。データの正確性や完全性を確認することが重要です。5. マッピングの維持・更新を行う継続的なデータ統合の場合、新しいデータソースの追加・変更、ターゲットデータの要件の変更が発生する場合があります。それらに対応したデータの更新や変更に必要な作業を定義しておく必要があります。データマッピングは表計算ソフトなどで手動で実施することも可能です。しかしデータソースが複数になる場合や、自動化の処理が必要になる場合には手動では限界があります。この場合、ETLツールやEAIツールなどのデータマッピングを支援してくれるツールを活用するという手法を取ることもできます。データマッピング例データマッピングのイメージを掴むために、手動で実施ができるごく簡単なデータマッピングの流れを取り上げてみましょう。例えば、ソースデータである顧客データAと顧客データBのデータ形式を変換し、ターゲットデータとなる顧客データCとして統合することを想定します。1. データソースのフォーマットを把握する顧客データAと顧客データBは以下のような構造(スキーマ)でデータベースに保存されています。まずは各データのデータ形式を確認してください。顧客データACustomerID100FirstName山田LastName太郎Emailtaro.yamada@email.comPhone555-123-4567Address123 Main StCityAnytownStateCAZipCode12345顧客データBCustomerID100FullName山田 太郎Emailtaro.yamada@email.comPhoneNumber555-123-4567Address123 Main StCityStateZipAnytown, CA 123452. マッピングを設計するこれらのデータを統合し、以下のような顧客データCの形式に出力することを目標とします。顧客データCCustomerID100FullName山田 太郎Emailtaro.yamada@email.comPhoneNumber555-123-4567Address123 Main StCityStateZipAnytown, CA 123453. マッピングを実施するソースデータとターゲットデータの形式の違いを加味し、以下のような手順を踏んでデータマッピングを実施していきます。顧客データAのCustomerIDを、顧客データBのCustomerIDにマッピングする。顧客データAのFirstNameとLastNameを結合して、顧客データBのFullNameにマッピングする。顧客データAのEmailを、顧客データBのEmailにマッピングする。顧客データAのPhoneを、顧客データBのPhoneNumberにマッピングする。顧客データAのAddressを、顧客データBのAddressにマッピングする。顧客データAのCity、State、ZipCodeを結合して、顧客データBのCityStateZipにマッピングする。4. データの出力変換されたデータをJSONやXML形式などで保存し、新しいデータベース、または既存のデータベースの新しいテーブルに追加します。結果として得られたデータは、ビジネス目的に合わせてレポートや分析などに活用することができます。これらの手順に従うことで、顧客データAと顧客データBをマッピングし、データCの形式で保存することができます。まとめ本記事では、データマッピングの基礎や手順について解説しました。データマッピングを行うことで、データ品質の向上やビジネスプロセスの最適化、データ保護やコンプライアンスの遵守など多くのメリットがあります。今回ご紹介した手順を踏まえ、データマッピングに取り組み、ビジネスに活かせるデータ活用を進めていただければ幸いです。