現在企業内では部署や業務に応じてSFAやCRMなどさまざまなシステムが導入されています。しかし多くの企業では各システム同士のデータが分散されたまま利用されているケースが多く存在します。このような課題を解決するために、EAI(Enterprise Application Integration:企業アプリケーション統合)ツールを導入する企業が増えてきています。今回はEAIとはどのようなものかを説明していきます。EAIとはEAIとは、Enterprise Application Integrationの略語で企業内で使われているアプリケーションを統合することを指します。企業内には、さまざまなアプリケーションがあり、それらを統合することで、効率的に情報を取り扱うことが可能となります。EAIでは、異なるアプリケーション間でのデータのやりとりを行うためのシステムを構築します。例えば、販売システムと在庫管理システムを統合することで、販売情報が自動的に在庫管理システムに反映されるようになるなど、異なるアプリケーションを統合することで、ビジネスプロセスをよりスムーズにすることができます。EAIは、1980年代に登場したもので、当時は企業内で使われているアプリケーションを統合することで、情報を効率的に取り扱うことができるようになるというメリットが注目されました。その後、EAIは、1990年代には、異なるアプリケーションを統合することで、ビジネスプロセスをよりスムーズにすることができるというメリットが注目されるようになりました。また、2000年代には、異なるアプリケーション間でのデータのやり取りを自動化することができるため、作業効率が向上するというメリットが注目されるようになりました。現在でも、EAIは、企業内で使われているアプリケーションを統合することで、情報を効率的に取り扱い、ビジネスプロセスをよりスムーズにすることができるとされています。よく対比される「ETL」とはEAIとよく対比される言葉として、ETLがあります。ETLは、「Extra」「Transform」「Load」の略で、 Extra =データを取り込む Transform = データを変換する Load = データを保存するというプロセスを指します。ETLは、データベースやデータウェアハウスなどのデータを管理するシステムで使われることが多いです。データを取り込んで、変換して、保存することで、データを分析したり、報告を作成したりすることができるようにするものです。ETLは、20世紀末に登場したもので、2000年代には、データを取り込んで、変換して、保存することで、データをよりスムーズに活用することができるようになるというメリットが注目されるようになりました。また、近年では、ETLを使ったデータの統合により、ビジネスインテリジェンスやデータサイエンスなどの分野でも、活用されるようになりました。EAIの機能システム間のデータを連携させるためのEAIの機能は、主に4つに分けられます。アダプタ機能異なるアプリケーションやシステムを統合するため、アダプタがそれぞれのシステムの接続口となってシステム間を連携させる機能となります。プロトコルやデータ形式、プラグインアダプタなどがあります。フォーマット変換機能インターフェースとなるアダプタから受け取ったデータの形式を変換する役割をになっているのがフォーマット変換機能となります。例えば、EAIツールを使って、異なるデータ形式で記述された2つのアプリケーションを統合する場合、それぞれのアプリケーションのデータ形式をEAIツールが使用するデータ形式に変換する必要があります。このとき、EAIツールのフォーマット機能が使われます。フォーマット機能は、異なるアプリケーションのデータ形式をEAIツールが使用するデータ形式に変換することで、EAIツールとの間でのデータのやり取りを可能にするものです。ルーティング機能フォーマット変換され出力されたデータを、条件によって自動的に振り分けて制御する機能となります。例えば、特定のデータを受信した場合には、そのデータを他のアプリケーションに転送する、といったように、データのやり取りを制御することができます。EAIツールを使う上での使いやすさにも影響してくるので、実際にデモなどで使い勝手を確認しておくと良いでしょう。ワークフロー機能アダプタ機能、フォーマット変換機能、ルーティング機能をどのような流れで、どれくらいの頻度で実行させるのか手順を指定する機能となります。業務の流れを理解した上で構築することが必要とされる重要な設定箇所となります。EAIのメリットEAIは企業内のシステム間のデータ連携をするうえで欠かせません。EAIを導入するメリットとしては大きく3つあります。システム間のデータ連携の効率化これまでは、システム間のデータを連携するためにシステムを開発する必要がありました。また連携のためにはプログラミングの知識がないとデータ連携はできなかったためハードルは非常に高かったです。しかし、EAIツールによってノーコードでデータ連携が可能になり、GUIを使った直感的な操作でデータ連携作業を行うことができます。EAIで連携したシステム間のデータ連携は、更新されると自動で同期がなされるため、常に最新のデータに保たれます。データ連携のミスをなくすまたデータ入力や集計、転記を手作業で行ってデータ連携をしようとすると、ヒューマンエラーが発生する可能性もあります。EAIツールを利用することで、データの統合に必要な作業を自動化することができ、結果としてデータ連携のミスを大幅に削減することができます。データ連携作業の効率化によるコスト削減EAIツールを導入することで、個別にインターフェースやプログラムを開発する必要がなく、コストや工数を削減することが可能となります。またEAIツールは直感的に操作できるGUIが搭載されており、ノーコードでの操作も可能なためエンジニアがいなくてもデータ連携作業が可能となり、管理に必要な工数を削減することができます。EAIツールとETLツールの違いEAIはイベント指向の処理を得意としていて、複数のシステム間のデータとデータを繋げることを効率的に行うことを目的としています。リアルタイム性が求められやすい観点から1回のデータ処理におけるデータ量は制限される傾向にあります。ETLはバッチ思考の処理を得意としていて、大量データの処理に向いています。一つのデータベースにさまざまなシステムにあるデータを集約することを目的としています。EAIの海外最新トレンドGlobal StrorageSphereの予測によると2021年から2025年にかけてデータ量が約2.4倍まで増加します。リアルタイムのデータや拡張現実などの空間データも増えていくため、より一層データの蓄積や管理が重要になっていきます。それにともなって、企業毎に導入するシステムが増えていくと言われています。MulesoftとDeloitteの調査では、企業が現在平均976個のアプリケーションを使用していると述べております。ただしこのうち統合されているのは28%のみであるとのことです。アプリケーションの統合は今後も依然としてITの最大の課題の一つとなります。そのため、システム間のデータを効率的に連携できるEAIの重要性もより一層高まっていくと考えられます。まとめここまでEAIとは何か、機能やメリット、海外の最新トレンドについて説明いたしました。企業内で利用しているシステムが多ければ多いほど、EAIは業務効率化に貢献いたします。EAIの導入を今後検討している方は、自社のシステムに相性が良いツールを選ぶためにも本記事を参考にしてみてください。