SaaS(Software as a service)のユーザーはインターネットを経由してアプリケーションやシステムを利用することができます。比較的容易に導入でき、かつサブスクリプション型の契約が可能な点が魅力で、近年急速に導入が進んでいます。SaaSとは何か | 概要から海外市場のトレンドまで分かりやすく解説!の記事でも紹介した通り、SaaSの市場規模は右肩上がりで、今後数年に亘って高い成長率を維持することが期待されてます。それに伴い、SaaS間のデータ連携にも大きなニーズが生まれています。そこで今回は、SaaS間のデータ連携における主要な方法を紹介し、データ連携で陥りがちな失敗例をご紹介します。ビジネスの規模に応じた適切な連携方法を検討する際の参考になれば幸いです。SaaS間のデータ連携が重要になってきた背景SaaSがビジネスの現場でに浸透するにつれて、一企業が利用するSaaSの数も増加の一途を辿っています。BetterCloud社が発表した2022年のレポートによると、米国企業では一社あたり平均してなんと130のSaaSツールを契約しているようです。この数は調査を始めた2015年と比較してなんと10倍以上に膨れ上がっています。契約するSaaSの数が増えてくると、会社の部門がそれぞれで契約しているSaaSを様々なレベルで管理する必要性が出てきます。例えば複数のIDやログインパスワードを管理したり、そもそも重複したSaaSの契約がないかをチェックするなども必要になります。それに加えて、複数のSaaSで散財しているデータの統合・管理にも目が向けられるようになります。データの連携ができていないことで入力の二度手間が発生したり、それぞれのシステムが持つデータを横断して分析できないということが発生するためです。ただ、データを手動で集約・連携しようとするのには限界があるため、より効率的な方法が模索されています。※BetterCloud社を元に作成今後のSaaSの市場規模の拡大を考慮すると、米国はもちろん日本においても、複数のSaaSのデータ連携のニーズは高まってくることが予想されます。SaaS間のデータ連携によるメリットSaaS間のデータ連携にはメリットには以下のようなものが挙げられます。シームレスな顧客体験を実現し、営業効率を向上するデータ分析をリアルタイムで行うことができるデータ入力の二度手間をなくし、オペレーション効率を上げることができる情報管理コストの削減が可能になる営業効率が上がり、リアルタイムのデータに基づいた意思決定が可能になると、ビジネスの改善サイクルを早めることができます。SaaS間連携を実現することで売り上げやその他の主要な指標を改善することが期待できます。SaaS間のデータ連携方法SaaS間のデータを連携する方法として代表的なものを紹介します。APIAPIとは「Application Programming Interface」の略で、データへのアクセス方法を定義したインターフェイスを指します。APIを利用してSaaS間のデータを連携し、機能を拡張することを「API連携」と言います。異なるシステム間でデータや機能を連携するのに一般的な方法になります。ただし、API開発に熟達したエンジニアを確保し、連携するサービス毎にAPIを開発する必要があることを考慮に入れる必要があります。複数のサービス間の連携にはそれなりの開発工数がかかってきます。iPaaSiPaaS(Integration Platform as a Service)連携とは、iPaaSと呼ばれる外部サービスを利用する方法です。iPaaSを提供するソフトウェアは複数のアプリケーションやシステムを接続して、システム間のデータや機能の連携を行います。API連携よりも高度な連携が可能で、より複雑なワークフローを作成したり、作業の大部分を自動化したりすることができます。また、個別のAPI開発を実施していたエンジニアの工数を削減することができ、より効率的なビジネス運用を実現することができます。CSVCSV(Comma Separated Values)とは、各項目間がカンマ(,)で区切られたデータのことです。ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトウェアで作成することができます。CSV連携とは、CSVファイルを複数のSaaSシステムへ転送することで連携する方法です。この方法は、APIやIPaaSなどの自動連携方法が利用できない場合に使用します。人手でデータを入力・転送する必要がありますが、少量のデータ連携を行う場合などには有効な方法の一つです。SaaS間連携の失敗例3選SaaS間連携には失敗例も存在します。以下ではよくある連携の失敗例を3つご紹介します。データの不整合や矛盾が発生する複数のSaaSツールで同じ種類のデータを管理している場合、データが不整合を起こしたり、矛盾したりすることがあります。これはデータが正しいタイミング・正しい方法で同期されていないことが原因です。最新のデータを元にした意思決定ができなくなる・データを利用する現場での混乱に繋がる・データ確認再入力に多くの工数がかかるなど、ビジネスに悪影響が及ぶことがあります。APIの不安定な接続によりデータの損失が発生するAPIを介したSaaS間連携の場合、API接続が不安定なことでデータの受け渡しや連携が適切に行えないことがあります。何らかの理由でAPIの修正や廃止が起こり、接続にエラーが発生することが原因です。ビジネスの中断やデータの損失が発生し、甚大な被害をもたらす恐れがあります。情報の漏洩や不正アクセスのリスクが高まる全く異なるセキュリティやプライバシーの方針を持つSaaS同士を無闇に連携してしまうと、情報の漏洩や不正アクセスのリスクが高まることがあります。SaaS間ではそれぞれ異なるレベルのセキュリティポリシーやプライバシーポリシーを定めていることが原因で発生します。きちんとそれぞれのサービスのセキュリティポリシーやプライバシーポリシーを確認・検討を行った上で連携を行うようにしましょう。SaaS間データ連携のポイントSaaS間データ連携を成功させるためのポイントを以下にまとめました。ビジネスの規模に応じた連携方法を選択するAPIやIPaaSなどの自動連携方法を積極的に活用するセキュリティポリシーやプライバシーポリシーを確認・検討するまとめ今回はSaaS間連携の具体的な方法を紹介し、連携でよく起こる失敗例についてまとめました。SaaSを活用することでビジネスの成功に向けた効果的な戦略を構築することができることは周知の事実です。しかし、SaaS間連携で適切な手法を選択できないと大きなリスクになることを認識しておくことは大切です。弊社Datableでは、SaaS for SaaSサービス「datable」をSaaSプロダクトに組み込めるiPaaSとして提供しております。ノーコードで連携が可能なサービスで、「早く、安く、簡単に」データ連携ができるようになります。実際に活用いただいているSaaS事業者の事例も掲載しておりますので是非参考にしてください。