近年急速に拡大しているクラウドサービスの一つであるSaaSは、利用者にとって便利な反面、様々なセキュリティリスクが存在することが指摘されています。本記事では、SaaSを利用する際に必要なセキュリティ対策について、リスクなどを詳しく解説していきます。SaaSデータ連携における認証の種類SaaSとSaaSのデータ連携では、アクセス制御を維持する認証は不可欠です。以下には、データ連携で一般的に使用される主要な認証の種類をご紹介します。OAuthOAuthは、ユーザーが直接IDとパスワードを共有することなく、特定のアプリケーションに他のサービスへの限定的なアクセス権を付与できるオープンスタンダードです。OAuth2.0は、現在最も一般的に使用されているバージョンで、安全性の強化とユーザビリティの向上がなされています。SAML (Security Assertion Markup Language)SAMLは、異なるセキュリティドメイン間で認証と承認データを交換するためのXMLベースのオープンスタンダードです。シングルサインオン (SSO) などのシナリオで広く使われています。OpenID ConnectOpenID Connectは、ユーザー認証に関する情報を取得するためのシンプルなIDレイヤーで、OAuth 2.0プロトコルの上に構築されています。ユーザー認証と認可のためのオープンなプロトコルであり、ウェブアプリケーションやモバイルアプリケーションなどのクライアントが、ユーザーのアイデンティティ情報にアクセスするために使用されます。APIキーAPIキーは最もシンプルな認証方法の一つで、APIの利用者がそのAPIを利用する権限を持っていることを証明するためのキーです。JWT (JSON Web Token)JWTは、JSONオブジェクトを使って情報を安全に伝送するためのオープンスタンダードです。認証情報を含むことができ、APIリクエストに含めることができます。データの署名または暗号化に使用され、信頼性のある情報の交換に利用されます。主にウェブアプリケーション間の認証や情報の送受信に使用されます。SaaSデータ連携におけるセキュリティリスクの概要SaaSとSaaSのデータ連携では認証だけでは不十分で、クラウドベースのサービスを介して複数のシステム間でデータを共有するため、適切なセキュリティ対策が重要です。発生する可能性のあるセキュリティリスクの一部を挙げます。データ漏洩SaaSアプリケーションには通常、クラウド上に大量のビジネスデータが格納されております。データを転送する際に、暗号化されていない形で送信されると、そのデータは第三者によって盗まれる可能性があります。また、データはセキュリティの弱点や脆弱なリンクを介して攻撃者に対して脅かされる可能性があるため、連携するSaaS間のセキュリティ対策の一貫性が重要です。APIのセキュリティSaaSとSaaSのデータ連携には専らAPIを活用するケースが多くあります。API連携についてはこちらの記事でも紹介しています。APIのセキュリティが不十分であると、不正なアクセスやデータ改ざんなどのリスクが増大します。アクセス制限の問題データ連携によって、複数のSaaSサービスが共有データにアクセスできるようになるため、各SaaSのアクセス制御が重要になります。不適切なアクセス制御は、誤ったユーザーがデータにアクセスする可能性を高めます。コンプライアンスの問題データのプライバシーとセキュリティに関する法律や規制は、国や業界によって異なります。データ連携を行う際には、全ての関連する法律や規制を満たしていることを確認する必要があります。データの整合性SaaS間のデータ連携では、データの一貫性と整合性を維持することが重要です。データが不一致や衝突を引き起こすと、業務の混乱や不正確な意思決定につながる可能性があります。SaaSプロバイダは、これらのリスクを軽減するために、セキュリティに関する対策を講じることが求められます。SaaSデータ連携におけるセキュリティ対策被害を最小限に抑えるためには、SaaSで想定されるセキュリティリスクに備えて適切な対策を講じることが必要です。以下にSaaS利用時に取り組むべきセキュリティ対策について解説します。データの暗号化データが第三者によって盗まれるリスクを軽減するためには、データを暗号化することが必要です。データは送信時(転送中)だけでなく、保存時(データの静止中)にも暗号化することが推奨されます。APIセキュリティの強化APIを保護するためには、APIゲートウェイやAPI管理ツールを使用して、認証、権限付与、トラフィック監視などの措置を実施することが重要です。また、APIを利用する際にはHTTPSなどの安全な通信プロトコルを使用すべきです。アクセス制御データへのアクセスは、必要最小限の権限を持つユーザーに限定されるべきです(最小権限の原則)。これにはロールベースのアクセス制御(RBAC)の実装などが含まれます。また、多要素認証の使用もアクセス制御を強化するための有効な手段です。コンプライアンスの確認データ連携を行う前に、すべての関連する法律や規制を満たしていることを確認する必要があります。これには、特定の業界に適用される規制(たとえば、金融業界の場合はPCI DSS)やデータ保護法(たとえば、GDPRやCCPA)などが含まれます。データ整合性の保証データの整合性を保つためには、データ連携の際のエラーハンドリングや、データのバリデーションと整合性チェックが必要です。また、データ変更のログを取り、不一致が発生した場合に追跡と修正ができるようにすることも重要です。これらの対策は、単に技術的な問題だけでなく、組織全体のセキュリティポリシー、教育、監視など、全体的なセキュリティマネジメントの一部であるべきです。まとめSaaS間のデータ連携はビジネス戦略の一部としてますます重要になっています。その一方で、認証とセキュリティ対策の重要性は極めて高いです。企業は、認証の種類を理解し、最新のセキュリティ対策を適用し、データ連携の安全性を確保することが不可欠です。弊社Datableでは、SaaS for SaaSサービス「datable」をSaaSプロダクトに組み込めるiPaaSとして提供しております。ノーコードで連携が可能なサービスで、「早く、安く、簡単に」データ連携ができるようになります。GUIによるSaaSのサービス開発にご興味がございましたら、是非下記より詳細資料をご覧ください。