皆様の会社ではSalesforceを活用されているでしょうか?Salesforceは営業・販売・マーケティング・パートナー管理など、多岐に亘る業務に必要な情報を一元管理できるクラウド型の顧客情報管理ツール(CRM)です。今やチームでのリアルタイムでの情報共有や、円滑な業務の遂行になくてはならないツールと言えるでしょう。また、Salesforceを導入した領域での導入効果が見えてくると、他のツールやシステムとの連携するニーズも高まってきます。ただし、目的に合わせた正しい手法を選択しないと、システム同士のデータを正しく連携できず、データの不整合や矛盾が起こる場合もあります。今回は、Salesforceと他のSaaSやシステムのデータ連携の手法とそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。正しい連携の手法を学び、不要なトラブルが起こらないように回避していきましょう。Salesforceと他システムの連携でできるようになること連携できるSaaSツールの種類と実現できることには以下のようなものがあります。顧客管理ツールとの連携による顧客の一元管理MA(Marketing Automation)ツールとの連携による最新の販売データとの同期営業支援ツールとの連携により営業フローの見える化カスタマーサポートツールとの連携により問い合わせ履歴の統合管理具体的な実例としては、営業支援ツールのZoomとの連携が挙げられます。商談URLから自動的にZoomのミーティングURLを発行、ミーティングの録画は自動的にSalesforceに保存することなどができます。これにより商談の設定や振り返りが格段にスムーズに行えることになります。Salesforceと連携できるもの社内システムJavaや.net言語で開発された基幹系システム・またはSAPやOracleなどのERPとの連携を指します。ただし、社内システムとの連携はファイアウォールの内側にあるものとの連携になるため、連携にはそれなりのハードルが存在します。クラウドサービスAWS(Amazon Web Service)やWindowsAzureなどのクラウドサービス・その他のSaaS型サービスとのサービス連携になります。Zoomなどの営業支援ツール、TwitterやFacebookなどのSNSツール、Zendeskなどのカスタマーサポートツールなど、連携例も非常に多岐にわたります。デバイス社用のモバイルからSalesforceの機能にアクセスできるようにすることも可能です。商談の記録やレポート作成などが社外にいても簡単にできるため、連携のニーズが近年高まっています。Salesforceとの連携の手法とそれぞれのメリット・デメリットAPI(Application Programming Interface)を利用した連携Salesforceから提供されるAPIを利用してSaasや他のシステムからデータを送受信する手法です。SOAP APIやRest APIなど、10種類以上のAPIの中から、目的に応じた適切なAPIを選択し、接続を行います。連携をするサービスの側もAPIを公開している必要があり、API開発の経験のあるエンジニアの関与は欠かせません。メリットリアルタイムのデータ連携が可能自動化による管理工数の削減が見込める既に用意されているAPIを活用することでシステム開発をスクラッチで実施する必要がなくなり、開発が効率化できるデメリットAPI連携に長けたエンジニアリソースの確保が必要APIの廃止や修正が起こった際に、業務に決定的な支障が出る可能性があるオンプレミス環境でのAPI連携をする場合、クラウドとオンプレミス間で通信が可能な独自のAPIを開発する必要があるCSV(Comma Separated Values)を利用した連携Salesforceにはデータローダーというアプリケーションが提供されており、CSV形式のファイルをインポートまたはエクスポートして受け渡しすることができます。ただし、連携するシステム側からCSVを取得する仕組みが整備されている必要があり、データベースから直接エクスポートしたり、SaaS型のソフトウェアであれば画面上のGUI(Graphical user interface)からダウンロードするなどの手法があります。メリット簡単なアップロード作業でデータの同期が可能。非エンジニアでも作業ができるデメリット自動化の恩恵を享受することが難しい。自動化を試みる場合はプログラムを自前で構築する必要があるデータを同期するタイミング次第では、データの競合や不整合が起こる可能性があるSaaSツールの場合は、そもそもCSVファイルを取得できない場合もあるiPaaSを利用した連携iPaaSとは、用途や目的が異なるSaasやシステム同士を仲介するソフトウェアです。Salesforceとシステムを連携させる場合、iPaaSを利用してSalesforceのAPIを呼び出したり、CSVを取り込んだりすることができます。代表的なiPaaSには、MakeやZapierなどがあり、5000以上のツールとSalesforceの連携が可能になります。また、操作も直観的でわかりやすく設計されており、データ連携に不慣れな方でもすぐに始めることができます。メリット異なるシステムの同期が自動化できるシステム同士をつなぐのに必要なプログラムやAPIの開発が不要システム同士を仲介するため、競合や不整合のリスクが減少するデメリット導入には費用がかかる場合があるAPIの制限を受けることがあるリアルタイム性に制限がある場合があるETL(Extra Transfer Load)ツールを使った連携ETLとは、Extract, Transform, Loadの略で、データの抽出・変換・ロードを行うソフトウェアのことです。Salesforceと他のシステムを連携させる場合、ETLツールを利用してSalesforceからデータを抽出し、変換してから他のシステムにロードすることができます。ETLの詳細は「EAIとは?ETLとの違いやツール導入のメリットも解説!」を参照してください。メリットデータの抽出・変換・ロードを自動化できるリアルタイム処理に比べてシステム負荷を少なくすることができる場合がある大量のデータを扱う場合に、高速に処理できるデメリットETLツールの導入には費用がかかる場合があるデータの抽出・変換・ロードの仕組みを理解する必要がある変換ロジックによっては、データの不整合が起こる場合がある連携方法の選び方それぞれの連携方法にはメリット・デメリットがあります。目的や用途によって最適な手法は異なるため、連携方法を検討する際には、以下のようなポイントを考慮することをおすすめします。データの更新頻度や同期タイミングを確認する必要なエンジニアリソースの有無を確認するセキュリティ要件が満たされているか確認するコストを十分にかけられるか確認するシステム連携の規模を将来的に拡張する予定があるかを確認するまとめ今回はSalesforceと他のデータベースを連携するためのいくつかの方法についてご説明しました。今後は市場に出されるSaasの数がますます増加することが考えられる中、連携によるユースケースも多岐にわたることが予想されます。Salesforce連携を検討されている際には、ポイントを抑えて適切な方法を選択していきましょう。